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保健だよりについて

「保健だより」について

滋賀県歯科医師会学校歯科部会では、歯や口腔に関して、歯ブラシはもちろん大切ですが、それ以外に日常生活や、日ごろ何気なく行っていることに潜む危険性についても知ってもらえるよう雛形を作成しました。 子供の歯・口の健康は、家庭環境が影響する部分もあります、また、歯周病に関しては、児童だけでなく保護者の方にも注意していただく内容です。 この雛形を「保健だより」などの参考にしていただき、生徒児童の口腔を通した健康づくりにご利用いただければ幸いです。

(1)新しい学年

新学期が始まりました。新しい環境に慣れるのは大変ですね。朝晩の歯磨きはできていますでしょうか。一年生になっても急に歯磨きが上手になるわけではありません。朝は余裕を持って起床し、朝ごはんはしっかり食べましょう。歯磨きは食後に、そして仕上げ磨き、磨き残しの確認をお願いします。

(2)フッ化物を上手に使おう

日本は先進国の中でも歯ブラシの回数が多く、砂糖の消費量が少ない事がわかっています。それなのにむし歯が多い国です。その原因はフッ化物の使用が少ないと言われています。海外では水道水や粉ミルクにもフッ化物が含まれている国があります。日本では高濃度フッ素(1450ppm)配合歯磨剤やフッ素洗口液の使用、歯科医院でのフッ化物塗布 (9000ppm)などでむし歯になりにくくすることが可能です。フッ化物の安全性は確立されており、これら全て行っても問題はありません。

(3)定期検診の大切さ

定期検診は健康な歯や歯ぐきを保つためにとても重要です。むし歯ができてしまってからでは削ることになります。定期検診では磨き残しを見つけることもできます。歯垢(プラーク)=細菌のかたまりの磨き残しです。むし歯や歯周病になる前に診てもらいましょう。健康なお口は親からの最高の贈り物。生涯の健康長寿につながります。

(4)水分補給について

のどが乾いたとき、何を飲みますか?スポーツドリンクやジュースを飲みすぎていませんか?スポーツドリンクは約6%の糖分が含まれています。ジュースと同じです。砂糖にすると500mlのペットボトルに約30gです。糖分が多すぎるため吸収速度は水よりも遅いのです。むし歯にもなります。吸収の早い経口補水液は糖分2%です。水分補給にはお茶か水にしましょう。

(5)歯ぎしり、食いしばりについて

歯ぎしりが気になりませんか?歯ぎしりや食いしばりは歯がすり減ったりします。もちろんお子さんでも起こります。かみ合わせが悪かったり、ストレスが原因の場合もあります。気になる場合は歯科受診をお薦めします。

(6)歯のけが、口のけが

歯をぶつけて折ったり欠けたり抜けたり、歯でくちびるを切ったり。歯や口のけがは学校で多いものです。歯がすっぽり抜けてしまった時は決して水道水で洗わないで下さい。歯は元に戻せる可能性があります。洗ってしまうと大切な細胞が水道水の塩素で死んでしまいます。乾燥にも弱いので、保健室にある歯の保存液にひたして急いで受診して下さい。保存液の無い場合は牛乳や生理食塩水、お口の中(ほっぺの内側)に入れて来てください。歯のかけらもくっつける事ができる可能性があるので探して下さい。出血している場合はティッシュなどで押さえて圧迫止血して下さい。

(7)マウスガードとは

コンタクトスポーツという言葉をご存じでしょうか。相手と接触する競技のことで、バスケットボールやサッカー、野球もそれに含まれます。最も歯・口の怪我が多いスポーツはバスケットボールです。ボクシングや空手、ラグビーは小学生では少ないかもしれません。マウスガードが義務付けられている競技もあります。小学生でも歯や口のけがをする子どもは大変多いです。あごの成長に合わせて作り変える必要がありますが、歯が折れてしまう前に使用することをおすすめします。歯科医院にご相談下さい。

(8)歯肉炎について

歯ぐきから血が出ませんか?お子さんでも歯垢が長く残っていると歯肉炎を起こし、歯磨きのとき出血するようになります。健康な歯ぐきは薄いピンク色で、歯磨きやフロスをあてても出血しません。歯肉炎は放置すると歯周炎に移行します。歯を失うリスクはむし歯よりも歯周炎のほうがはるかに高いです。将来歯を失わないためにも小さいうちから歯磨きを丁寧にしましょう。

(9)歯に安心なおやつとは

おやつの選び方はどうされていますか?おやつ=お菓子、になっていませんか?子どもにとっておやつは食事を補う意味もあります。お菓子でなくてもおにぎりやバナナでも良いのです。お菓子の中でもむし歯になりやすいのは砂糖が多いもの、お口の中に長時間残るもの、歯にくっつきやすいものになります。飴やチョコ、キャラメル、スナック菓子などですね。これらをしょっちゅう食べるのは心配です。ソーセージ、スルメ、焼き芋、干し芋などは比較的安心でしょう。お子さんにもおやつの選び方を覚えてほしいものです。

(10)歯の生えかわり

6歳臼歯と呼ばれる第一大臼歯は5~7歳に生えてきます。個人差があります。上下の前歯もそのころはえ変わります。6歳臼歯の手前にはえてくる2本の小臼歯は10歳前後にはえ変わります。生えたての永久歯は表面がやわらかく、とてもむし歯になりやすいです。できるだけ仕上げ磨きは継続してください。自分だけで磨く際歯医者さんで正しい磨き方を教えてもらいましょう。

(11)歯並びと噛み合わせ(不正咬合)

学校の歯科健診で指摘される場合があります。学校健診はむし歯や歯周疾患を含めたスクリーニング(ふるいわけ)です。診断をするものではありません。不正咬合で指摘された場合、まずはかかりつけ歯科医にご相談されることをおすすめします。

(12)悪習慣と不正咬合

悪習慣や姿勢が歯並びやかみ合わせに影響があることをご存じでしょうか。3歳を過ぎても指吸いや爪咬み、タオルを咬んでいると不正咬合になってきます。また最近はテレビゲームのせいか姿勢が悪い子がいます。背中をまるめ、口をポカンと開いています。これも不正咬合の原因になります。背筋を伸ばす筋肉が弱くなっているとも言われています。外遊びで体を強くすることも良いかみ合わせに大切だと言われています。

(13)正しい歯磨きはむずかしい

皆さんは何分くらい歯ブラシをしていますか?2~3分くらいでしょうか。あまりにも短いのは良くないですが、長すぎるのも悪いです。というのは同じところばかり歯磨きでこすると歯がすり減ってしまいます。しみる原因にもなります。長く磨いていても歯垢は残ったまま、という場合も多いです。歯は丸みがあって、食べ物が当たるところにはあまり歯垢が残りません。反対に歯ぐきのきわや歯と歯の間に歯垢がたまります。仕上げ磨きの時はその部分は注意して磨きましょう。フロスも有効です。

(14)ご家庭で標語コンクールを

日本学校歯科医会では長年歯の標語コンクールが行われてきましたが、過去の受賞作品をご紹介します。◎健康も楽しい食事もいい歯から◎まあええか その一言で歯周病◎目標はハチマルニイマルぼく7さい◎歯の五輪 金銀よりも白だよね これらの標語を考えるには歯の健康について一生懸命考えてくれたことと思います。学校では募集しませんが、おうちで標語を出し合ったり歯のポスターを描いてみたりされると意識が高まると思います。

(15)お口のにおい気になりませんか

お子さんの口臭が気になったことはありませんか?つばは無臭ではないので、誰でもにおいはします。マスク生活が長くなり、息苦しいとつい口呼吸になってしまいます。口呼吸をしていると歯ぐきが乾燥し、それだけでも、う蝕や歯肉炎になると言われています。口臭の原因にもなります。また、緊張やストレスで唾液が減ると口臭の原因になります。その口臭が歯肉炎によるものか生理的なものか、あるいは別の病気によるものか、気になる場合は歯科医院を受診してください。鼻で呼吸することは空気を温め湿気を与え、細かいゴミやウイルスなどを身体への侵入を防ぎます。口臭予防にもなります。

(16)乳歯の大切さ

乳歯は抜けてしまうのになぜ大切なのでしょう。小学校時代は混合歯列期と言って、乳歯と永久歯が混在する時期です。ということは小学校時代の食事は主に乳歯で咬むのです。はえ変わるからといってむし歯を放置すると小学校の間は十分に栄養が採れないことになります。生えたての永久歯もむし歯になりやすくなります。また、乳歯一本につき永久歯一本が骨の中に埋まっているので、乳歯がむし歯になってしまうと、永久歯の生えるスペースが狭くなり、永久歯の歯並びが悪くなってしまうのです。乳歯のむし歯も放置せず治療しましょう。

(17)人生百年健康にすごしたい

かかりつけの歯科医師がいると長生きできるというのをご存じでしょうか。小さいころから定期的に診てくれる歯医者さんがいると何でも相談できて心強いですね。つまり健康に過ごせるということです。歯みがきというのはお子さんにとって「自分で自分の健康を守る」を学ぶ第一歩となります。歯は健康教育の良い材料です。自分の健康を守るための食事や睡眠、運動習慣などにお話を広げるきっかけになると思います。

(18)歯ぐきと全身疾患

歯ぐきは血管が非常に多く、歯周病菌が歯ぐきの血管から入ると言われています。歯周病菌が全身にまわるのです。それにより脳梗塞や心筋梗塞、糖尿病が悪化するなど、様々な全身の病気に関連しています。子どものうちから健康な歯ぐきを保つことはこれらの病気を予防することにつながります。

(19)むし歯になる4つの要素

①歯の質②糖分③むし歯菌④時間 これらが揃うとむし歯になります。①の歯の質はフッ化物の応用(フッ素入り歯磨剤・フッ化物塗布・フッ化物洗口液)で対策できます。②はシュガーコントロールです。甘いものを減らしましょう。③を減らす方法は歯ブラシやデンタルフロスです。フロスをしないと磨く前の4割のプラークは残ると言われています。④はだらだら長時間食べたり飲んだりすることです。甘い飲み物を少しずつ飲むのも要注意。せっかく治療した歯でも詰め物と歯の継ぎ目からむし歯になってしまいます。

(20)歯並びやかみ合わせを悪くする習慣

舌の位置を意識したことはありますか?舌は上あごにぴったりくっつき、上下の歯は離れている、そして唇は閉じている。これが正しい状態です。また、ものを飲み込むときは舌が上あごの裏にくっついていなければいけません。指吸いや爪咬み、舌の悪い癖で不正咬合にもつながります。悪習癖は早めにやめた方が賢明です。

(21)あご関節を悪くする習慣

勉強の時ほおづえをついていませんか?噛みしめる癖はありませんか?片方の歯ばかりで咬むことはありませんか?うつぶせ寝の習慣はありますか?あごの骨は頭蓋骨にあご関節によってぶらさがっています。悪い習慣は関節に負担をかけ、痛みの原因になることがあります。一日の上下の歯が合わさる時間は17分くらいと言われています。食事中に歯が合わさる時間の合計です。噛みしめる時間が大幅に増えると顎関節症(痛み、雑音、開けにくい)や歯の咬耗(すり減り)など多くの不都合が起こります。お子さんに悪い習慣は無いでしょうか。

(22)お子さんのむし歯危険時期は?

お子さんのむし歯、少しでも増やしたくないと思うのは親心。 最近では、親御さんのデンタルIQが格段にアップしていて、子どものむし歯本数は減っています。しかしながら残念なことに、それは学童期の子どもまでのことです。中学生になるとむし歯の本数は増えてきて、高校生はピークになります。これはやはり歯磨きタイムに、親御さんが目を向けなくなる年齢になってくるからです。親御さんもお子さんに嫌がられるとは思いますが、たまには声をかけて、お子さんの日々のデンタルケアへの意識を再確認してください。そしてできるだけ頻繁に、定期検診とクリーニングに足を向けるように促しましょう。

(23)シーラントのご紹介

お子さんの歯を守るために有効なシーラントについてお話していきます。シーラントは、むし歯を予防するための処置です。奥歯の溝の凸凹は、大変むし歯になりやすい箇所です。ここにプラスチック素材のシーラントを埋めて、むし歯をブロックするというイメージです。シーラントは健康保険適応となっていますので、費用的な心配もないので大変おすすめです。「むし歯になっていない歯」にシーラントを埋めるのが基本です。乳歯がむし歯になっていると、永久歯がむし歯になっていくリスクが高くなります。そのため、シーラントは乳歯にも埋め込むのが理想です。シーラントの施術は、痛みはまったく生じません。ですので、小さなお子様にも抵抗なく行っていただけます。ご家庭の毎日のお子様のデンタルケアと併せて、シーラントを埋め込んでむし歯をガードしていきましょう。